マンガの原稿用紙の作りについて
すみませんまたしても間が空いてしまいました。
同人誌の通販開始してます御覧ください~~
https://hornet08.booth.pm/
などと宣伝しつつ…
ペン先、紙の触り方とやってきたので次は原稿用紙の話にしようかな。
マンガはどういう紙を用意して書けばいいのか、
あんまりイメージわかないかもしれないのですが、
小学校の作文用紙みたいな、予めテンプレートが印刷された、
こういう「マンガ用原稿用紙」があります。
印刷されているものは、メーカーによって若干異なりますが
トンボ・断ち落としを囲む線・トンボ内側の線
目盛(親切なものだと3段・4段に等分した際の位置)・基本枠
であることがほとんどです。
それぞれが何を意味しているかはこちらをご覧いただくのがよいかと
『日本一分かりやすい原稿用紙の使い方!』
⇒ https://ameblo.jp/cookie-shueisha/entry-12165979771.html
要するにトンボ裁ち落としの線まで絵かいとけばOK、
外まで出っ張らないコマは、特にこだわりがなければ
基本枠に沿って枠線を引けばOKです。
印刷の線はすべて薄い水色や灰色の、マンガの印刷やスキャニングには
影響が少ない色になっています。
紙の種類はほぼ上質紙110kgと135kgで用意されています。
kgの意味は~、要するに重くなるほど一枚が分厚くなります。(端折りすぎ)
110kg…下書きをトレスしたり、原稿用紙裏の修正をトレスしやすい
135kg…手汗によるたわみが起こりづらい、頑丈
などなどのメリデメがあるのでお好みで。どちらでもいいです。
メーカーについても、それぞれ若干紙面の感触や価格が違うので、
気分的に折衷できるものがよいかと。
一番メジャーなのはICかDELETERかな。
ここからはただの昔話…
さて、予め線がひかれた原稿用紙を使うなら良いのですが
そういったものが発売される前の原稿用紙はどうしていたのでしょうか。
まず、用意するのは「ケント紙」。
表面がすべすべしていてとても分厚く、頑丈です。
ケント紙でなくてもつけペンインクがにじまなければ何でもOKです
けんども、我々が手軽に入手できる紙種はケント紙かと思います。
画用紙?コピー用紙?死を見たいのか君は
原稿用紙にある程度の厚みが必要なのは、インクを十分
吸い込む必要がある他に、出版までの作業中にガサガサいろいろするので
折れ曲がらない頑丈さと、トーンを貼る際に
カッターを使うので、紙が切れない頑丈さが求められるためです。
ケント紙は水分の吸い込みが遅いので、
ペン入れの際には手元の線画をこすって引きずらないように注意です。
で、マンガ雑誌の漫画賞ページには、トンボの内側の
サイズ、断ち落としの幅、基本枠のサイズが詳細に何ミリと表示されていますので、
それに沿って線がひけるように、原稿用紙を重ねて、
キリや千枚通しで穴を開けます(^o^)
The CHIKARA-WAZA
こうなります。
こうすると何枚でもすぐに裁ち落とし線を引けるようになりますね(^o^)
…マンガ用原稿用紙って本当にありがたい存在ですねえ…
ここまで見ていただいてわかったかと思うのですが、
たとえば「B5版原稿」と言われたら、B5サイズになるのは
「トンボの内側」までで、その外側に裁ち落としやら
余白(ページ数を書いたりメモを書いたり)が必要になるので、
実際の原稿用紙はB5よりも一回り大きいA4以上の大きさになります。
原稿用紙全体でB4のプロ用原稿用紙(今はプロでもスキャニングなどの関係で
A4サイズ原稿利用者が多いので、このサイズ使ってる人少ないけど)は、
トンボ内側のサイズがA4よりも一回り大きい特殊サイズですね。
これは、雑誌サイズに縮小した際にきれいな縮尺度になるサイズになっています。
でもこちらも、印刷技術の向上や原稿のデジタル化に伴って、
影響も少なくなってきていると思われます。
次回は、IC怖いという話をしようかな…
ICの品質管理まじやべえって体験談です。
原稿の大敵、それはあなたの手のひら ~きれいなペン線を書くための原稿の扱い方~
すんませんMHWのベヒーモスに手間取ってたら書くの忘れてた。
下書きも終わったし、いよいよペン入れだぜ!
と気合い入れてみたものの、よく考えてみたら
きれいにペンを入れるには原稿用紙を作業中ずっと
適切に扱う必要があるのでありました。
学校でノートを取るように、いつもどおり
紙に鉛筆で下書きしているとペン入れ時に発生する事故の原因
それは
手脂(てあぶら)
普段手のひらや指先は汗や皮脂が結構でてます。
(すごく昔に薬の副作用で手指の間が「汗疱」という
状態になったことがあるんですが、「こんなに汗出てるもんなんだ!?」
というぐらいには出てます)
で、これが
のあたりで悪さをします。
普段紙に何かを書いているとき一切気にしない箇所ですよね…
特に鉛筆持ってない方の抑えてる指…
しかも、一生懸命絵を書いてる状態だと
余計に汗と脂がたくさんでるんですよ全く…(笑)
手脂がひどいとどうなるかというと、
インクを弾いてしまってきれいな線がでなくなります。
インクが乗らない場合もありますが、逆に滲む場合もあります。
極力、絵が入る面を素肌で触らないようにしましょう。
0.1秒も触っちゃダメってことはないんだけども
ずっと押さえるとかは避けたいところです。
でもそうしたら紙を押さえるのは裁ち切りよりも外の
1センチちょいの隙間だし
ペンをもった手は書道家みたいな状態で書かなきゃならない
そんな地獄が待っている…
なので
こうしちゃいましょう!
原稿用紙と手の間に何かを挟むのです(とても単純)
挟むものはお好みで何でも良いです。
一番お手軽なものはティッシュでしょうか。
あと手袋をちょっと指切ったりしてつけてる方もおおいですね。
そんな中で自分のおすすめは
「ハ ガ キ」
おうちに来たDMだのなんだので不要なハガキたくさんあると
おもうのでそれを有効活用できます!!
ついでに、変なビニール加工してあるハガキよりも、
厚手の上質紙かケント紙でできてるやつが滑りが良くて
手汗の湿気も吸い取ってくれてかつ歪まなくてSo Good.
厚めの本をかうと中に読者ハガキみたいなのが
はさんであると思うのですが、アレが一番ベストなかんじ。
自分の感覚だと、ティッシュや普通の上質紙はちょっと薄すぎて
手汗の湿気を原稿用紙に通してしまって、原稿がたわんでしまうのと、
紙の材質がザラザラなので鉛筆の線をこすってしまって
紙面を汚してしまう気がします…
(でも材質は個人の好みなのでいろいろ試してみてください)
手袋は手の動きがちょっと窮屈だという場合も、
ハガキならフリーダムですのでぜひお試しを。
原稿を扱うすべての工程で、
なるべく両手にこの下敷きをする癖をつけておくと、
いろいろとはかどります。
美しい原稿を仕上げる一つの方法として、
ぜひ覚えておいていただければと。
Gペン、丸ペンカブラペン…ペン先の種類いろいろ。何がどうちがうのか?
紙とペンで漫画かく醍醐味といったらつけペンですよねえ~
今回はつけペンの種類のお話です。
とはいえ、まんが書くのに絶対「つけペン」じゃないと
いけないのかっていうと、実際そんなこともなくて、
ぶっちゃけ「黒くなってれば何で書いてもいい」です。
なので「つけペンがうまく使えないょ…」と悩んでいる方は
そんなに気張らずにハイテックCとかミリペンとか
ボールペンでカリカリ書いて全然OKと思います!!!!
なんだろう…つけペン、人体改造しないと
使えないシロモノだから…
普通使えないものだからあんなの……
ペン入れしたあとは普通に鉛筆握って文字とかかけなくなりますし…
(腱鞘炎的な意味ではなく)
多分普通の筆記具使うのとは別の筋肉が動いてるんだろうな…
つけペンでもその他の筆記具でも、何度も線を重ねて
味を出すかんじになるので、それで味のある線が
引ければ何で書いても大丈夫です。
それではつけペンの種類を見ていきましょう
■カブラペン・たまペン・サジペン
80年代ぐらいまでは「つけペンといえばこれ!」という感じ。
手塚治虫および同年代の漫画家たちが愛用していたことで有名なペン先。
書き味は硬質・平坦。
入りと抜きは丸みのある筆跡になる。
また、おろしたてでも、使い込んで傷んできたときでも
さほど書き味が変わらず、ペン先の寿命が長い利点があります。
裏技としてペンを裏表逆にすると、反り返ったペン先部分で
めちゃくちゃ細い線が引ける。
■Gペン
Gがなんの意味かは諸説あってよくわからない…
90年代以降の漫画では「漫画のペン入れといえばコレ!」
みたいな感じのエリートペン先。
さいつよ。
書き味は柔軟かつソリッド。
入りと抜きはシャープだけどしっかりした筆跡。
とても太い線から細い線まで、力加減一つで自由自在に繰り出せる。
逆にいうと、結構な慣れと練習が必要。
■丸ペン
筒状になっており、他のペンと著しく違う形をしているのがこの丸ペン。
つけペンの中では最も細い線が出せる上に、
筆圧にもよく反応するので、Gペン並の太さ~消え入るように細い線も出せます。
書き味は硬質。
入りと抜きは三角形のシャープな筆跡になる。
ニッコーのは書き出しと書き終わりは比較的四角いかも。
主線・背景・効果線とすべての場面で利用ができる万能ペン先。
ただし、かなり力加減に慣れを要するので、
Gペン以上に根気強い練習が必要かもしれません。
ペン軸は丸ペン専用のものが必要。
■日本字ペン
マイナーかもしれないけど
島本和彦先生の燃えよペンなどでたまにこの形状のペン先が
登場するので、炎尾燃先生は多分日本字ペンユーザーかな?w
そのことからわかるように(?)かなりアグレッシブな線が出せます。
太いGペンのような感じ。
原稿用紙を大きく使って迫力のある線を出したいときには
大活躍しそうです。
書き味はとても柔軟。入りと抜きは丸みを帯びてます。
■スクールペン
書き味は大変に硬質で弾力性はないペン先で、安定した線がかけます。
線を重ねて味を出す、というやりかたをあまりしないほうがいいペン線。
非常に安定した均一な線が出せるので、人工物を書いたり、
強弱がでないペン線で書きたい場合は非常に良い性能を発揮します。
入りと抜きは四角い感じです。
…画像でいいのがあればと思ってアマゾンリンク貼ったんだけど
タチカワさんニッコーさんの製品写真が直球過ぎて()
メーカーサイトに行くと、「このペン先は吹き出しに!」とか
用途を書かれていることが多いのですが、
「どのペン先も主線を引く書き味はだせるし、均一な線も引ける」
「筆圧への反応のよさと抜きの線がどれだけ細くなるかが違うだけ」
なので、気にせず自分の好きなラインが引けるペン先を
探しましょう。
次にメーカーごとの特徴を見てみましょう
同じ名前のペン先でも、メーカーおよび
メーカー内の製品によって素材や設計が異なるので、
書き味が変わってきます。
以下は自分が使ってみての所感なので、
気になる場合はバラ売りペン先を一つずつ買って
全て試してみるのをおすすめします。
■ゼブラ
一番メジャーなメーカー。
どれも間違いのない書き味のペン先を出してくれています。
材質も、クローム・硬質・チタンなどいろいろ出してくれていますが
個人的にはクローム一本でなんとでもなる気がします。
■タチカワ
大手3社の中では一番どのペン先も硬い物が多い気がします。
特に丸ペンの硬質さ・細さは群を抜いていて
背景書くときに大変おせわになりました。
■ニッコー
どちらかというとタチカワ寄りの書き味が多い気がするニッコーさん。
というかニッコーブランドのペン先は実はタチカワさんが作っているのだった。
「タチカワのガリガリってかんじ好きだぜ!
だけどもうちょっと描画的なしなやかさがほしいな!」
というときにニッコーのペン先を選ぶとよろしいかとおもいます。
ゼブラ使い慣れてると大変刺激的な感触でペン入れができて楽しい。
メーカーごとにペン先がどう違うのか…
丸ペンは形状の違いがよく見えるものなので一つ見てみましょう。
左がタチカワの丸ペン、右がゼブラの丸ペン(A)です。
基本的にペン先が長いほどしなやかになり
線の強弱が出しやすくなりますが、
ご覧の通りタチカワ(左)のほうがものすごく短く、
硬質で強弱の出ない設計になっているのがわかりますでしょうか。
見た目で書き味が予想できる場合もあるので、参考にしてみてください。
ペン先は消耗品かつ持ち主の力加減一つで
無限の書き味を見せるシロモノなので、
頑張って高い素材のペン先を買う必要もありません。
すべてのペン先はバラ売りで買えますので、買って試してみましょう。
試し書きの際は適当に線を引くのじゃなくて、
そのペン先ひとつでひとり人物とかを書いてみると良いと思います。
たまにハズレのペン先があったりするので、
余裕があったら2本ずつ買うと保険がきくかも…
それでは次は実際にペン先の使い方などについて書こうかと思います